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有機酪農のいま

久多里 俊輔さん(別海ウェルネスファーム) 有機循環型酪農の仕事とは?

久多里 俊輔さん(別海ウェルネスファーム) 有機循環型酪農の仕事とは?
もくじ

北海道別海町の別海ウェルネスファームの創業メンバーである久多里(くだり)さん。2019年の牧場立ち上げ計画策定から、2020年の会社設立、2021年の牧場稼働、2023年の有機乳製品の販売開始に至るまで、久多里さんは有機循環型酪農の立ち上げに奔走してきました。

理想の牧場像

久多里さんはカネカに2001年入社後、ホイップクリーム、マーガリンなど様々な乳製品の研究に従事。ホイップクリームでは、「生乳のみを原材料とする“生クリーム”ではできない価値を有する乳製品作り」を目指して研究に取り組んでいました。乳製品の研究に取り組む中、「いつか生乳を作る酪農の仕事にも携わりたいなと思うようになった」と久多里さん。久多里さんが酪農の仕事により興味を持ったきっかけは、ベルギー駐在時代にある経験をしたことからと言います。「ベルギー駐在時代、ベルギーのピュアナチュール社と仕事をするようになりました。そんな折、ピュアナチュール社との長年のパートナーである酪農家の牧場をいくつか訪問した際、牛が自由に牛舎と放牧地を行き来できる牧場を見学させてもらいました。」

その牧場を見たときに、「“こんな牛にやさしい牧場があるなんて、本当に素晴らしい!”と感動したことを今でも忘れません。動物も人間も、外に出たいときに出て、家(牛舎)で休みたいときに休みたいはず。まさに自分の考える理想の牧場像がそこにありました」と久多里さん。

有機循環型酪農

久多里さんは帰国後、北海道で有機循環型酪農を立ち上げる任務に就くことになりましたが、牧場を立ち上げるのであれば、「ベルギーで見た牛が自由に牛舎と放牧地を行き来できる牧場を実現したい!」との強い想いがあったといいます。別海ウェルネスファームでは、このベルギーの牧場を参考にしつつ、ITシステムを活用したフリーアクセス牛舎を実現しています。

別海ウェルネスファームのコンセプトは、“人にやさしい、牛にやさしい、環境にやさしい”。このコンセプトを実現するため、「自動搾乳機の導入による酪農現場の省力化、フリーアクセス牛舎などによる牛のストレス軽減、太陽光発電による再生エネルギーの活用など、様々な活動を高い次元で組み合わせて有機循環型酪農を実践している」と久多里さんは熱く語ります。

「日本では有機循環型酪農はまだまだ珍しい存在です。今までないからこそ、この仕事にやりがいを感じますし、牧場のメンバーたちもこの想いに共感して日々の仕事に取り組んでくれています。」

そして、久多里さんはさらにその先を見据えています。「別海ウェルネスファームはもちろんのこと、有機循環型酪農という取り組みが、より多くの牧場に広まっていけばよいなと考えています。そして、安全安心および環境に配慮したオーガニック乳製品がより多くの食卓に広まっていってほしいと強く願っています。」

最後に、久多里さんにとっておきの北海道の楽しみ方を聞いてみました。「北海道の楽しみ方は、やはりこの大自然。北海道に来てからの私の趣味は、野湯(のゆ)巡り。野湯とは、無料で入れる、自然の中にある温泉。川沿いに石や岩で囲まれただけの野湯なんかもあります。大自然の中でお湯に浸かることは、何ものにも代えがたい体験です。夜だと星を見ながらお湯に浸かると宇宙と自分が一体化したような気分を味わえます。こんな経験、北海道でしかできないですよ!」